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2017年3月20日月曜日

認可地縁団体について調べてみた!(2017/3/20)

みなさん、こんにちは。

さて、現在、FujisawaSSTの自治会組織として認可地縁団体となることを目指しているわけですが、恥ずかしながら私、いまひとつこの認可地縁団体という制度を理解できていなかったので、この機会に少し調べてみました。

コミッティセンター(集会所)

今日は私的な備忘録として、その少し調べた内容を書いておこうと思います。

注)あくまでも私的なメモで、調査不足・確認不足な点なども多々あると思います。
なので、正確な情報を知りたい方は、別途専門家の方などに確認されることを強くオススメします。また、足りない点は、ぜひご指摘いただければ幸いです。

《目次》
  1. 認可地縁団体ってなんだ?
  2. そもそも認可地縁団体にならないとマズイの?
  3. 認可地縁団体になるとどんなメリット・デメリットがあるの?
  4. 認可地縁団体で気になること!
  5. まとめ

1.認可地縁団体ってなんだ?


制度の根拠は、地方自治法第260条の2〜第260条の40の規定ということになるようです。

最終的には条文に当たっていただければと思いますが、制度概要を記した資料が、政府の「まち・ひと・しごと創生本部」の地域の課題解決のための地域運営組織に関する有識者会議(第4回)の配布資料(資料2)にありましたので、貼っておきます。


この資料によると、要するに、市長の認可で地域の自治会に法人格をもたせて不動産登記の名義人とできるようにするための制度のようです。←要約しすぎ?

もともと各地域の自治会は法人格のないいわゆる「権利能力なき社団」で、不動産を所有していても自治会として登記することはできず、代表者の名義で登記(代表者が変わるときには移転登記)するなどしていたようです。

これは確かにちょっと厄介ですね。

ただでさえ不動産の登記なんて揉めごとのタネですし、代表者が万一突然亡くなられたりなんかしたら、相続人を探して状況を説明して、でも諸条件を定めた契約書なんてなくてて・・・なんてことになって、大変なことになりそうです。

それら問題を解消すべく平成3年の地方自治法の改正で導入されたのが、認可地縁団体の制度ということのようです。


ただ、ここまで調べた感じだと「自治会長さんは大変だなー。でも自分には関係ないか。」と思ってしまいがちです。

が、残念ながら(?)、どうやら自分も完全には無関係でいられない(自分にも影響がある)みたいです。

以下、もう少し掘り下げて調べてみたところを書いていきます。

2.そもそも認可地縁団体にならないとマズイの?


FujisawaSSTの場合も、集会所(コミッティセンター)などの不動産がありますので、法人化して自治会としての名義で登記ができるようにしておくことは意味がありそうです。

その一方で、不動産の登記の名義の問題だけなら、従来、他の自治会で行われてきたように、自治会の会長個人名義で登記はしておくということもできないわけではないように思います(上述の「認可地縁団体の制度概要」の資料でも、地縁団体全体で30万団体くらいのうち認可を受けた地縁団体は4.5万団体くらい(約15%)で、多くの自治会が未だ認可地縁団体になっていないようです)。

それでは、不動産登記の問題以外に具体的にどんな不都合があるのでしょうか。

こちらの「民法まとめ」というサイトで「権利能力なき社団」について、とても分かりやすくまとまっていました。

その内容を引用させていただきつつ、私なりにまとめてみました。

(1)認可地縁団体にならないと財産を持つことができない?


そんなことはないようです。

判例により、構成員の総有(みんなで持っていること。構成員は使用できるけど、自分の持ち分を譲渡するようなことはできない。)という形で財産を持てることになっています。

権利能力なき社団の財産は構成員に総有的に帰属する(最判昭39.10.15、最判昭32.11.14など)。

(2)認可地縁団体にならないと業者さんと契約等を締結することができない?


そんなこともないようです。

判例にて、代表者が行った契約は、ちゃんと自治会全体に効果が及ぶことになっています。

社団の代表者が社団の名において行った取引の効果は、その社団の構成員全員に総有的に帰属する(最判昭39.10.15、上掲最判昭48.10.9)

(3)認可地縁団体にならないと団体としての取引行為の責任が個人に降ってくる?


そんな心配もいらないようです。

判例で有限責任であることが確認されています。

社団の債務について、社団(構成員全員)の総有財産だけが責任財産となり、構成員各自は直接には責任を負わない(有限責任、最判昭48.10.9)。

(4)そこまでできるなら、実は自治会として不動産登記できる?


残念ながらそれはできず、代表者個人の名義での登記でないといけないようです。

不動産登記について、社団は登記請求権を有せず、代表者個人の名義による登記のみが認められる(最判昭47.6.2)。

(5)他にどんな不都合があるの?


認可地縁団体にならない場合、上述のとおり、自治会の名義で不動産を登記することができないので、代表者の個人名義ですることになります(住民全員の名義とすることもできなくはありませんが、現実的ではないと思います)。

そうすると、その代表者の個人の財産と登記簿上は見分けがつかなくなるので、その代表者の方が自治会所有の不動産をその事情を知らない第三者に譲渡してしまったような場合(第三者に差し押さえられてしまった場合も含みます)に、その第三者と住民のどちらを保護すべきかという難しい問題が起こり得るようです。

確かにそうなのですが、そんなことを代表者がした時(する恐れが生じた時)にどうするかをあらかじめ契約で決めておくことで、住民と代表者の間での問題はある程度解決できるようにも思います。

というわけで、認可地縁団体でない状態を維持しても、致命的かというとそうでもないように思います(もし何か思い至っていないものがありましたら、ぜひご指摘ください)。


3.認可地縁団体になるとどんなメリット・デメリットがあるの?


こうして考えると、別に無理して認可地縁団体になんてならなくてもいいんじゃないの?という感じですが、認可地縁団体になるとどんなメリット・デメリットがあるのかを考えてみたいと思います。

というのも、大きなメリットがあるなら、現状で大きな不都合がなくても認可地縁団体となる価値があるかも知れないからです(逆に認可地縁団体になることで大きなデメリットがあるようなら、今の方向性を考え直さないといけないかも)。

いくつかの地方自治体さんが、メリット・デメリットをまとめているようなので、紹介させていただきます(他にもあるとは思いますが、Google検索で上位に表示されたページ・資料から見繕ってみました)。


それから、藤沢市さんも、認可地縁団体に関する資料を公表されています。


上記各資料を参考に、メリット・デメリットを私なりにまとめてみます。

(1)認可地縁団体となることのメリット


まず、何と言っても、自治会として所有する不動産をきちんと自治会の名義で登記できることが挙げられます。

自治会の名義で不動産を登記できることで、「不動産の相続の際のトラブルなどを避けることができる」「代表者が変更しても、不動産登記の変更は不要」と言ったメリットがあります。

トラブルなんてない方がいいので、その回避ができるということ自体、大きなメリットだと思います。

そして2つ目の「代表者が変更しても、不動産登記の変更は不要」の点ですが、これは実益という意味でとても大きいと思います。

認可地縁団体でない場合、保有する不動産の登記を新しい自治会長の名義に書き換えるには通常の譲渡の場合と同様に移転登記を行うことが必要で、登録免許税(固定資産税評価額の1000分の20)の支払いが必要になってしまうようなのです。

これが自治会長交代の都度かかるって、結構バカになりません。

一方、認可地縁団体になった場合、自治会名義に変更する最初の1回は登録免許税の支払が必要ですが、以降、自治会長が交代しても不動産登記の名義変更は不要で(市への代表者変更の届け出は別途必要)、名義変更に伴う登録免許税を支払いは最初の1回だけで済みます

しかも、藤沢市の場合は、上記ハンドブックによると、認可地縁団体になると「登記に係る登録免許税相当分は市から補助金が出ます」とのこと(p.2)。

これは大きなメリットだと思います。


ちなみに、不動産だけでなく、国債・地方債・社債などの登録を要する金融資産なども自治会の名義で持つことができるようになり、これらも相続などのトラブルから逃れられます。

今後、修繕積立金や自治会費の繰越金の保管の方法を考える際、認可地縁団体となることで選択肢を広げられる可能性があるとも言えそうです(元本保証のない商品を使うべきかどうかは、きちんと議論する必要があるのは言うまでもありません)。


続いて挙げられているのが、法人格を得たことで社会的信用が高まるということ。

上述したように、権利能力がなくても基本的には困ることはほぼないはずです。

それでも、認可地縁団体となるためには規約をきちんと定めてそれに則った運営が求められるので、そのようなハードルをクリアして市長によって認可されている団体であるということは、取引をする相手方にとっては安心感が違ってくるということでしょう。

似たような観点で、例えば、認可地縁団体は財産目録の作成が義務付けられたりもするので、住民の側から見ても団体運営の透明性が増して安心感が高まる、というのもメリットのひとつではないかと思います。

(2)認可地縁団体となることのデメリット


続いて、デメリットです。

メリットの裏返しですが、認可に伴って法律上の義務が多数発生するという点が、最大のデメリットではないかと思います。

気をつけないといけないのは、次の事項あたりでしょうか。

  • 規約の変更には、市町村長の認可が必要!(法第260条の3第2項)
  • 代表者の交代、主たる事務所の変更など地方自治法施行規則第19条に定める事項に変更があったときは、市町村長への届け出が必要!(法第260条の2第11項)
  • 財産目録・構成員名簿の作成と備え置きが必要!(法第260条の4第1項・法第260条の4第2項)
  • 少なくとも毎年一回、構成員の通常総会の開催が必要!(法第260条の13)
  • 総構成員の五分の一以上から請求で臨時総会の招集が必要!(法第260条の14第2項)
  • 総会の日より少なくとも五日前に総会招集の通知が必要!(法第260条の15)
  • 総会ではあらかじめ通知をした事項のみ、決議できる!(法第260条の17)

結構、色々ありますね。

規約の変更が住民の一存ではできず、市長の認可が必要になるというのは、大きな変化だと思います。

ただ、それ以外のルールは、手続は煩雑になるかも知れませんが、メリットのところでも書いたように透明性を高めるという効果もありそうなので、悪い面ばかりでもなさそうです。


上記のほか、古くからある自治会の場合、最初に行う移転登記も、元の名義人が既に亡くなっているなんてこともあるようで、認可を受けるまでの準備のための手間・費用がかなり掛かるというデメリットもあるようです。

とは言え、どこかで必要な作業ではあると思うので、この認可を受ける機会にやってしまってもよいのではないかと思います。

(3)結局、認可地縁団体になった方がいいの?


以上を総合評価すると、個人的には認可地縁団体になった方がいいのかなと思います

やっぱり自治会長交代の都度の登録免許税の支払負担がなくなるというメリットは大きいですし、各種手続きが義務化されることも自治会運営の透明性確保という意味では必要なことですから。


4.認可地縁団体で気になること!


地方自治法上、認可地縁団体の構成員に関して、いくつか決まりを定めています。

  • 対象区域に住所を有するすべての個人が構成員となれないといけない!(法第260条の2第2項第3号)
  • 正当な理由がない限り、その区域に住所を有する個人の加入を拒んではならない!(法第260条の2第7項)
  • 構成員に対し不当な差別的取扱いをしてはならない!(法第260条の2第8項)
  • 各構成員の表決権は、平等でなければならない!(規約に別段の定めがある場合は除く)(法第260条の18第1項・第3項)

そのため、構成員を世帯単位としていた自治会は、個人単位に変更する必要があるようです。

この点に関連して、いくつか気になっていることがあります。

(1)構成員の表決権について


構成員自体は住人全員がなれるようにしないといけませんが、表決権については規約で別途定めれば、例えば、世帯単位としたり、成人のみに認めたりというようなこともできるようです。

住人1人1票を貫くことが必ずしも公平というわけではないので(単身者の世帯よりも大家族の世帯の方が表決権が多いことになり、多様なライフスタイルが許容されづらくなってしまいますので)、この点は慎重に規約を定める必要がありそうです。

詳しくは確認していませんが、「世帯単位で活動し意志決定を行っていることが沿革的にも実態的にも地域社会において是認され,そのことが合理的であると認められる事項については,構成員の表決権を,世帯単位に平等なものとして「所属する世帯の構成員数分の1票」とする旨を規約に定めることができる」という考え方が、この法律の逐条解説に示されているようです。

なかなか複雑ですね。

自治体で認可地縁団体関係を担当されているという方のブログ「新・認可地縁団体の事務の手引き」では、上述の逐条解説の考え方について、次のようにバッサリ切っています。

逐条解説には「『所属する世帯の構成員数分の1票』とする旨を規約に定めることができると解される。」とありますが,これは,例えば4人家族で世帯主とその配偶者の意見が異なる場合,世帯主の表決権は4分の3(子どもの表決権は世帯主にあると仮定)で,配偶者の表決権が4分の1となるような事態を想定しているとは思えません。 
2人が総会に出席した場合に,4分の3,4分の1でそれぞれ計数するとか,Aさんとこは6人家族だから世帯主さん6分の5票と配偶者さん6分の1票,Bさんところは2人家族だから2分の1票ずつ,なんて計数することは到底現実的ではありません。

確かにそのとおりだなと思います。

このあたりは、自治体にも柔軟に考えていただきたいところです。

(立法当時の国会会議録()もざっと調べましたが、表決権については直接的には議論になっておらず、「今回の改正案は、もともと財産上のトラブルを回避し得る道を開くというところにあるわけでございまして、実体としてある自治会、町内会というものに変更を加えようというものではございません。」と政府委員が説明していて、さらに、「「その区域に住所を有するすべての個人は、構成員となることができるものとし、その相当数の者が現に構成員となっていること。」、こういうふうに書いてございます・・・それは要するにそういう実態を踏まえてそういうものを認可するということでございます。そうあらねばならないというところを示しているということではないと思います。」とも説明しています。つまり、上記の逐条解説は少し行き過ぎで、地方自治法の条文上の要求を超えて過度に1人1票にこだわる必要はなく、実態に即して規約で定めればよいということだと思います。)


(2)自治会費について


構成員を個人単位とした場合、自治会費はどうなるのでしょう。この点については、ネット上ではよい資料を見つけられませんでした。

法律上も、「自治会費はこうでなければならない」という決まりはないようです。

一般論として、認可地縁団体になる前後で自治会費の取扱いを変えないといけないということはないだろうとは思いますので、世帯単位での自治会費徴収を継続することは認められるのだろうと思います。

ただ、評決権の扱いを認可地縁団体になる前の内容から変更し、1人1票としている事項があるような場合には、世帯で同じ金額を払っても評決権が異なることになってしまいます。

自治会費の金額が十分に低廉であれば不合理ではないと言えるかもしれませんが、金額が大きくなってくると疑問なしとはしづらいように思います(FujisawaSSTのタウンマネジメントフィー(月額)は12,760円です)。

例えば、自治会費についても、世帯単位で享受する内容に対応した部分と個人単位で享受する内容に対応した部分に分けるなど、工夫が必要なように思います。

法律上も「不当な差別的取扱いをしてはならない」とされていますので、公平性を確保するように努力する必要があるのでしょう。

規約の変更には市長の認可も必要と言うこともあるので、このあたりは本当に慎重に検討した方がよさそうです。


5.まとめ


以上をまとめると、こんな感じでしょうか。

  • 認可地縁団体になると不動産の登記が自治会名でできるようになる!
  • 認可地縁団体になると色々な法律上の義務も生じるので大変だけど、認可地縁団体にならずにいると自治会長交代のたびに登録免許税の支払が発生してしまうので、それなら認可地縁団体になってしまった方がよいかも!
  • 認可地縁団体の構成員の評決権や自治会費などは不公平にならないように慎重に決める必要がありそう!

まだまだ調べたりないところもあるので不完全ですが、あくまでも私的なメモということでご容赦ください。

それではまた。

(関連書籍)





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