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2015年3月29日日曜日

繰上返済すべき?住宅ローン減税を優先すべき?(2015/3/29)

みなさん、こんにちは。
今日は、住宅ローンの返済に関して、できるだけ早く繰上返済すべきなのか、住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の恩恵をできるだけ受けるべく、今は約定返済に留めて住宅ローン減税が終わってからまとめて繰上返済をすべきなのかについて、書いてみようと思います。


1.住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の制度について


住宅ローン減税の制度は、家の購入時期によって少しずつ条件が異なりますが、最近の購入者の場合、「年収3,000万円以下で、年末時点で償還期間が10年以上の住宅ローンがある場合に、最大でその年末残高の1%に相当する所得税を還付するもの」と言ってよいかと思います(詳細は国税庁のページを参照ください)。

「最大で」と書きましたのは、まず(1)限度額があり、次いで(2)控除であり納税額がその金額に満たなければ全額が支払われるわけではないためです。

ただ、(2)については、控除しきれなかった分は翌年の住民税が減税されるという形で還元されるので(これはこれで限度額がありますが)、極端な場合でなければあまり気にしなくてもよいかも知れません(こちらは、総務省のページをどうぞ)。

(1)の限度額についてですが、藤沢SSTのパナホームの物件の場合、認定長期優良住宅ということで、限度額は消費税5%で購入した場合には年額30万円まで、消費税増税後の場合は年額50万円までということになることになります。


2.繰上返済と住宅ローン減税の関係に関する2つの説

ネットを見ていると、ファイナンシャル・プランナーさんたちによる、こんな2つの説を見かけます。
  1. 住宅ローン減税で借入金額の1%が還付されるから、住宅ローンの金利が1%よりも小さいなら、繰上返済しない方がいい。
  2. 例えば10年間毎年100万円ずつ繰上返済しなかったとしても、住宅ローン減税の制度で還付されるのは100万円の1%の10年分、つまり10万円しかなく、繰上返済による利息軽減効果の方が大きいので、繰上返済した方がいい。

これ、どちらの方が正しいのでしょうか。


3.シミュレーションしてみました!


仮に3,000万円金利1.0%で35年間借りたという場合を想定してみます。
※非常に細かくシミュレーションができる「みかローン 高機能住宅ローンシミュレーション」を使って、シミュレーションをさせていただきました。

まず、繰上返済による利息軽減効果を見てみます。

上記の条件で約定返済を続けた場合、支払総額は約3,568万円です。
それに対して、住宅ローン減税の恩恵を受けられる10年間、毎年100万円を繰上返済した場合(ここでは毎月の返済額の軽減ではなく、利息軽減効果の大きい期間短縮型の繰上返済で計算します)、支払総額は約3,292万円となります。
つまり、約265万円ほどの利息軽減効果ということになります。

これに対して、当初は繰上返済をせず、10年間、住宅ローン減税による恩恵を目一杯受けて、10年後にまとめて繰上返済する場合を考えてみます。
10年後に1,000万円をまとめて返済(期間短縮型)する場合、返済総額は約3,364万円となり、利息軽減効果は約203万円に留まることになります。
つまり、繰上返済を遅らせることで、利息軽減効果は265-203=約62万円減ることになります。

(なお、上記は、10年後に1,000万円を繰上返済していますが、仮に、毎年の100万円を住宅ローンの金利と同じ1.0%で運用できたとすると、1,000万円は約1,046万円になります。それを10年後に一括して繰上返済した際の支払総額は約3,348万円、利息軽減効果は約209万円です。毎年100万円ずつ繰上返済する場合に比べると、利息軽減効果は265-209=約56万円です。)


次いで、住宅ローン減税の制度による税還付がそれぞれの場合にどうなるかを見てみます。

10年間約定返済を続けて、住宅ローン減税の制度による恩恵を目一杯受けた場合、10年間で約259万円の税還付を受けることができます。
他方で、10年間、毎年100万円ずつ繰上返済(期間短縮型)を行った場合、税還付は10年間で約203万円になります。
 つまり、繰上返済を毎年行うと、259-203=約57万円だけ、還付金額が小さくなるのです。

ここからわかることは、次のようなことかなと思います。
  1. 住宅ローンの金利が1%の場合、手元に残した繰上返済資金を同じ1%で運用できなければマイナスになってしまう
  2. 毎年100万円ずつ繰上返済することによる住宅ローン減税による還付額の減少は100万円の1%=10万円に留まらない

同じ計算を住宅ローンの金利が0.5%、0.9%、1.5%の場合とで計算してみたものがこちらです。


住宅ローン金利返済総額(約定返済)返済総額(毎年100万円を繰上)返済総額(10年後に1,000万円を繰上)利息軽減効果の差税還付(毎年100万円を繰上)税還付(10年後に1,000万円を繰上)還付金額の差
0.5%3,271万円3,145万円3,174万円-29万円200万円256万円 56万円
0.9%3,498万円3,263万円3,318万円-55万円202万円258万円 56万円
1.0%3,568万円3,292万円3,354万円-62万円203万円259万円 57万円
1.5%3858万円3,440万円3,541万円-101万円204万円262万円 58万円


これによると、住宅ローン金利が0.9%を超えたら、基本的に繰上返済を優先した方が有利と言ってよさそうです。

つまり、35年固定でローンを組んでいらっしゃる方は、住宅ローン金利が0.9%よりも下ということはあまり無いと思いますので、繰上返済を優先すべし、ということになるのでしょう(よほど、運用に自信のある場合は除きます)。

一方で、変動金利や5年固定、10年固定で住宅ローンを組んでいらっしゃる方は、住宅ローン金利が0.9%を下回っている期間については、今は繰上返済を見合わせた方が吉、と言うことができそうです(フラット35Sも射程に入ってくるかも知れませんね)。

ただ、気をつけるべきことがありまして、上記は住宅ローン減税として年末残高の1%全額の還付を受けられることを想定しています。そのため、実際には還付金額がもっと小さくなる場合がありますので、そのあたりはきちんと計算しておく必要があります。

なお、所詮、10年間で数万円から最大でも25万円程度しか変わらないので、細かな計算をするよりも、さっさと繰上返済をしてしまう方が精神衛生上はいいのかも知れないです。^^



3.繰上返済は期間短縮型と返済額軽減型のどっちがいいの?


さて、上記シミュレーションでは利息軽減効果が少しでも大きくなるように期間短縮型で試算をしましたが(返済額軽減型でシミュレーションをしてしまうと、繰上返済後の返済ペースが落ちてしまい、シミュレーション上、利息軽減効果が小さくなってしまいます)、実際にはどちらで繰上返済をすべきなのか(選べるなら)、という点があります。

まず、期間短縮型で繰上返済をしたことで、住宅ローンの償還期間(これまでの返済期間に残りの返済期間を足した期間)が10年を下回ってしまうと、住宅ローン減税を受けることができなくなってしまうことに注意が必要です。

私が一番いいと思う繰上返済の方法は、返済額軽減型で繰上返済をしつつ、実際の返済額は以前のレベルを維持するという方法です。

つまり、例えば月8万円の支払が繰上返済によって7万円に軽減されたとしても、原則として8万円の返済を続けるということです。
金融機関によっては難しいかも知れませんが(三井住友信託銀行の場合は、「自動返済」(口座にある金額を自動的に繰上返済)を使うことである程度実現可能です)、繰上返済の手数料がなく、少額からでも繰上返済が出来る場合は、この方法が一番オススメだと思います。

返済額軽減型で繰上返済を行って約定返済額が下がったとしても、実際の返済金額を自分が変えなければ、その分、早くに返し終わることになるので、期間は結局短縮されますし、万一、家計の状況に大きな変化があった際に、返済額軽減のメリットを享受することができるためです。


最後に

このあたりの「金利の計算」って、なかなか難しいですよね。間違っていたらゴメンナサイ。
何か勘違いしている箇所などありましたら、お気軽にコメントにてご指摘くださいませ。
それでは、また。^^


(関連書籍)








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2 件のコメント:

  1. なるほど大変参考になりました。
    毎日金策を考える私に貴重な記事ですね(笑)

    返信削除
  2. コメントありがとうございます。
    何か多少なりとも参考にしていただける部分があったなら、とても嬉しいです。
    それにしても、せっかく還付があっても、またすぐ固定資産税で持っていかれたりするのかと思うと、なんとも・・・。がんばらないとなーと思います。^^

    返信削除

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