2017年4月10日月曜日

認可地縁団体についてもうちょっと調べてみた!(2017/4/10)

みなさん、こんにちは。

先日、認可地縁団体に関する私的メモとして「認可地縁団体について調べてみた!(2017/3/20)」を書かせていただきました。


今回は、松本英昭著「新版逐条地方自治法第7次改訂版」(以下、逐条といいます)と地縁団体研究会著「自治会、町内会等法人化の手引第2次改訂版」(以下、手引といいます)をめくって、最大の疑問点の「表決権は構成員一人1票でないといけないのか」について調べてみました。

ちなみに、逐条の著者 松本英昭氏は、旧自治省で事務次官を務められた方です。地方自治法に関する最も権威ある書籍のひとつと言ってよいのだろうと思います。

また、手引の方の編者の地縁団体研究会がどのような会かは特に書かれていませんが、発行元があのぎょうせいさんということで、認可地縁団体に関するバイブル的なものと言えそうです。

特に後者は、自治会が策定する規約のサンプルや認可地縁団体となった後の運営や、税制上の取扱いなども載っていて、実務で認可地縁団体を扱う方にとっては、とても参考になるように思います。


■ 表決権は構成員一人1票でないといけないのか


(1)法律ではどう書かれている?


まずは条文です。

地方自治法第260条の2第2項にて、次のように全ての住人が個人として構成員になることができることが、認可要件とされています。

第二百六十条の二  (略)
○2  前項の認可は、地縁による団体のうち次に掲げる要件に該当するものについて、その団体の代表者が総務省令で定めるところにより行う申請に基づいて行う。
(略)
三  その区域に住所を有するすべての個人は、構成員となることができるものとし、その相当数の者が現に構成員となつていること。
(略)

よって、構成員の単位は、個人ということになります。

そして、地方自治法第260条の18にて、次のように「各構成員の表決権が平等であること」、ただし、「規約に別段の定めがある場合には、適用しない」旨が定められています。

第二百六十条の十八  認可地縁団体の各構成員の表決権は、平等とする。
○2  認可地縁団体の総会に出席しない構成員は、書面で、又は代理人によつて表決をすることができる。
○3  前二項の規定は、規約に別段の定めがある場合には、適用しない

上記第1項で「各構成員の表決権は、平等」とされていますが、第3項にて明確に「規約に別段の定めがある場合には、適用しない」とあります。

よって、規約に別段の定めをしてしまえば、構成員一人1票としなくてもよい、ということが読み取れます。


(2)逐条ではどう書かれている?


続いて、逐条をみてみます。

逐条の読み方ですが、この逐条では全編を通して、各条文ごとの「解釈」とそれを踏まえた「運用」とに分けて記載されています。

「解釈」の部分と「運用」の部分をどのように使い分けて執筆されているのか、明確には説明されていませんが、法律条文が一次情報だとすると、「解釈」は二次的な情報、「運用」は三次的な情報という感じで書かれているようにみえます。

そして、今回の点に関しては、逐条の「解釈」には該当の記載はなく、「運用」のところで、次のように説明されていました。

「認可地縁団体の総会において、構成員の表決権は平等である(法二六〇の一八1)。ただし、世帯単位で活動し意思決定を行っていることが沿革的にも実態的にも地域社会において是認され、そのことが合理的であると認められる事項については、構成員の表決権を、世帯単位に平等なものとして「所属する世帯の構成員数分の一票」とする旨を規約に定めることができると解される(法二六〇の一八3参照)。ただし、その場合にも、世帯内の構成員の表決権を剥奪することは認められない。」

なぜそうなのかという理由は特になく、このように書かれています。


(3)手引ではどう書かれている?


それでは、手引の方はどうでしょうか。

手引では、この点について、規約例を説明する中で、次のように記載しています。

「(特定事項について世帯の表決権を一票とすること)を設けることは可能ですが、・・・世帯単位で活動し意思決定を行っていることが沿革的にも実態的にも地域社会において是認され、そのことが合理的であると認められる事項に限られるものです。したがって、規約の変更、財産処分及び解散の議決のような重要事項については認められないと解され、規約に定めることとなる事項(代表者の代表権の制限及び委任、監事や役員会の設置等)についての決定も規約の変更となるため同項の適用は認められないと解されます。また、代表者や監事の選任も、同項を適用することは適当とは考えられません。」

こちらも特に理由は書かれていませんが、どうも「構成員一人1票」ではない形については、法律の文言よりも限定する方向で書かれているようです。


(4)結局のところどうなのか?


結論として、次のようなことが言えるのではないかと思います。

  • 「構成員一人1票でなけれなならない」ということはない
  • 「世帯単位で活動し意思決定を行っていることが沿革的にも実態的にも地域社会において是認され、そのことが合理的であると認められる事項」については、構成員一人1票ではない形とすることができる。

まず、少なくとも、「構成員一人1票でなければならない」ということはないということは間違いなさそうです。

これは条文に明確にそう書かれていますし、逐条や手引でも、そのこと自体は否定していません。


続いて、「構成員一人1票」としないでよいのは、「世帯単位で活動し意思決定を行っていることが沿革的にも実態的にも地域社会において是認され、そのことが合理的であると認められる事項」に限られるのか、否か。

法律文言上は、特にそのような限定がありませんが、逐条や手引ではそのような限定をかける方向で書かれています。

手引については、さらに進めて「規約の変更、財産処分及び解散の議決のような重要事項については認められない」等と強く書かれています。

この点、どうなのでしょう。

もう少し、「なぜそうなのか」という理由が各文献に書かれていればよかったのですが、結論しか書かれていないので、なかなか難しいところです。

おそらくは、基本的人権などのことを踏まえると、現代社会では世帯単位ではなく個人単位で捉えることを基本とすべき、という考え方の表れなのではないかと思います。

そして、「世帯単位で活動し意思決定を行っていることが沿革的にも実態的にも地域社会において是認され、そのことが合理的であると認められる事項」であれば、その基本原則を崩してもよいだろう、というのが、逐条や手引の底にある考え方なのかなと思います。

そういうことであれば、納得できるところです。

以上を前提とすれば、手引に書かれているような「規約の変更、財産処分及び解散の議決のような重要事項については認められない」といった結論に飛びつくのではなく、「世帯単位で活動し意思決定を行っていることが沿革的にも実態的にも地域社会において是認され、そのことが合理的であると認められる事項」かどうかを、丁寧に見極めることが大切なのではないかと思います。


(5)FujisawaSSTの場合はどうすべき?


最後に、FujisawaSSTの場合を考えてみようと思います(ここから先は個人の1意見に過ぎません)。

FujisawaSSTの場合、2014年の分譲開始からまだ3年とは言え、これまではいずれの事項についても世帯単位の表決権で運営されてきましたし、それで問題が起きているということは(少なくとも私の知る限りは)ないように思います。

その意味では、これまでに総会で決議してきたような事項はいずれも「世帯単位で活動し意思決定を行っていることが沿革的にも実態的にも地域社会において是認」されていると言えると思います。

そして、「そのことが合理的である」と認められるかどうかを考える際、FujisawaSSTの自治会費が、地方自治法で典型的に想定されている自治会費の水準を大きく超えていると思われる点は、考慮に入れるべきことのひとつではないかと思います。

自治会費の公式な統計などを確認できたわけではありませんが、こちらのページによれば、月額500円以内が約半数を占めるようです。

その程度に十分に低廉であれば、会費のことを考慮に入れる必要性は低く、手引に書かれているような一般論が妥当すると思います。

が、FujisawaSSTの場合は、その高額な自治会費を理由に一般論が妥当しない部分があってもよいと思うのです。

例えば、共有設備の修繕積立金などは世帯単位で負担しています。この共有設備という保有財産の処分について、構成員一人1票の表決権としてしまうのは、明らかに合理性を欠きます。

他の自治会活動についても同様です。世帯単位で負担している金額が大きい故に、世帯間の不公平が生じないようにするという要請が他の地域の自治会よりも大きくなるのではないかと思うのです(「構成員に対し不当な差別的取扱いをしてはならない」という地方自治法第260条の2第8項に応えることにもなると思います)。

その意味で、自治会費について、例えば、共有設備の修繕積立金は世帯単位、各種活動のための会費は個人単位での徴収にするなどすれば、後者に関する表決権を構成員一人1票にすることの合理性が高まるように思います。


なお、例えば、性差別に関わるような事項(典型例として、女性のみに負担がかかるような事項など)について、世帯単位の表決権で決すべきでないのは、言うまでもないと思います。

これは認可地縁団体という形式、従来通りの権利能力なき社団の形式など、団体の形式で変わるものではないと思います。


おわりに


というわけで、以上、追加で確認してみた内容の紹介&考察でした。

何かの参考に・・・なることがあるのかな?(笑)

それでは、また。

(関連書籍)

本文で紹介させていただいた書籍です

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