先日、「バス通勤、一番お得な運賃支払い方法は何?(2017/3/25)」の記事でバス通勤のちょっとしたTips(?)を書かせていただきましたが、今日は電車通勤のネタと言うことで、JRの分割定期について書いてみようと思います。
とは言え、こちらもJRで通勤されている多くの方はご存知のなのではないかと思います。
なので、今まで電車通勤ではなかった、もしくは電車通勤だけどJRではなかったという方向けの情報となります。
Suica定期券のサンプル
(JR東日本さんのページより)
1.JRの「分割定期」って何?
簡単に言うと、JR線内で乗車駅から降車駅までの定期券を買う際に、連続した2つの区間に分けて購入することです(正式名称があるのか分かりませんが、ここでは「分割定期」とさせていただきます)。
なぜ、わざわざそんなことをするかと言うと、理由は1つ。
その方が安くなるから!
6か月定期で購入するのがポイントの1つなのですが、それなりの距離のある区間だと、10,000円近くお得になる場合(それ以上の場合も探せばあると思います)があると言うことで、知る人ぞ知る、JR通勤のマストテクニックと言ってよいかと思います。
「まさかのキセル推奨!?」なんてことはありませんのでご安心を。
「連続した2つの区間に分けて」と言うところがもうひとつの大切なポイントでして、乗車区間分の運賃をしっかりと支払っているので、キセルにはなりません。
また、定期を2つに分けると言っても、物理的に2枚になるわけではなくて、1枚のSuica定期券で対応できます。
そのため、分割しない場合と使い勝手は全く変わりません(Suica定期券ではなく磁気カードしかなかった時代やSuicaが分割定期に対応できていなかった時代は、本当に物理的に複数枚の定期券に分けて購入する必要があったようです)。
となると、「特に何かしなくても、実は元から一番安くなっているのでは?」って思いますよね。
でも、違うのです。
明示的に分割定期として購入しないと、割高な運賃での定期券購入になってしまうのです。
2.藤沢駅からのお得な分割定期の例!
それでは実際にいくらになるのか、FujisawaSST在住者で、ありそうなパターンをいくつか見てみようと思います。
まだ分割定期にされていない方はご自身の支払金額と比べてみてください。
以下いずれも通勤定期・6ヶ月の場合です(「乗車券分割プログラム」というページを利用して調べさせていただきました)。
(1)藤沢〜東京の場合
通常:133,910円藤沢〜東戸塚・東戸塚〜東京に分割:125,720円
8,190円もお得!
(2)藤沢〜新橋の場合
通常:121,310円藤沢〜東戸塚・東戸塚〜新橋に分割:113,310円
8,000円もお得!
(3)藤沢〜品川の場合
通常:108,860円藤沢〜横浜・横浜〜品川に分割:99,410円
9,450円もお得!
(4)藤沢〜川崎の場合
通常:83,980円藤沢〜東戸塚・東戸塚〜川崎に分割:77,640円
6,340円もお得!
(5)藤沢〜新横浜
通常:83,980円藤沢〜戸塚・戸塚〜新横浜に分割:77,640円
6,340円もお得!
いかがでしょうか。
ちなみに、東海道線の駅を中心に載せましたが、最後の例のようにJRの他の路線に乗り継ぐ場合でも大丈夫です(山手線や京浜東北線に乗り継ぐ方もご自身で調べてみてください!)。
(6)3つ以上に分割?
さて、上記は2つに分割した場合ですが、実は3つ以上に分割するとより安くなる場合があります。例えば藤沢〜東京の場合、藤沢〜東戸塚・東戸塚〜横浜・横浜〜蒲田・蒲田〜東京の4つに分割すると、121,060円となり、12,850円もお得になるようです。
ただ、Suica定期券は2分割までしか対応できないようなので(少なくとも2014円時点ではそうでした)、磁気定期券で発行してもらう必要がありそうです。
また、その場合、物理的に複数に分割して発行してもらうことになって、乗車時と降車時で別の定期券を使うことになるので、磁気定期券の入出場チェックの機能を無効化してもらうように磁気定期券の発行時に駅員さんにお願いする必要があるようです。
ただ、この方法は規約上の難点があるように思いますので(後述)、オススメはできませんし、個人的にはやめておいた方が良いと思います。
(2016年4月から、他の私鉄や地下鉄との2区間連絡定期が3区間に対応するようになったようなので、ひょっとしたら、JR内での分割も3区間に対応しているかも?Suica定期券で3分割ができるなら規約上の難点を回避できると思いますので、是非、どなたか試してみてください!)
3.分割定期の買い方!
最近はひょっとしたら自動券売機も対応しているのかも知れませんが、2014年時点で私が購入した際は、みどりの窓口での購入が必要でした。
通勤定期券の申込用紙
Suica定期券の申込用紙に、一応、経由駅として分割する地点の駅名を入れて、「藤沢~横浜・横浜~品川の分割定期でお願いします!」というような感じでお願いしたような記憶があります(どこか空欄に「分割定期で」と書いてしまっても良いと思います)。
2枚の申込用紙にそれぞれの区間で記入して「1枚のSuicaでお願いします!」と言ってもよいかも知れません。
おそらくどちらでも十分に駅員さんには伝わると思います。
一度買ってしまえば、継続の手続は普通に自動券売機でできます。
というわけで、窓口に並ぶのは最初の購入時のみです。
4.分割地点の駅を通らない路線に乗ってもいいの?
上の例では、東戸塚駅で分割するとお得というパターンが多いようです。
が、ここで気になる人には気になるポイントがひとつ。
東戸塚駅は横須賀線なので、藤沢駅から東海道線に乗って、大船駅で横須賀線に乗り換えるなどして通勤しないといけないのか、という点です。
もしそうだとすると、不可能ではないですけど、なかなか面倒です。
Suicaの利用規約は「東日本旅客鉄道株式会社ICカード乗車券取扱規則」というものなのですが、その第2編の41条に「Suica定期乗車券の効力」として次のように書かれています。
第41条 Suica定期乗車券は、券面表示区間外であっても同一の取扱区間内にある駅相互間であれば、前条の規定を準用して乗車することができます。
前条の規定は、「Suica乗車券の効力」でして、次のように書かれています。
第40条 第22条第1項の規定により使用する場合のSuica乗車券の効力は次の各号に定めるとおりとします。
(1)当該乗車区間において、片道乗車1回に限り有効なものとします。この場合、小児用のSuica乗車券にあっては1枚をもって小児1人、その他のSuica乗車券にあっては1枚をもって大人1人に限るものとします。ただし、小児用以外のSuica乗車券から大人のIC運賃相当額を減算することを承諾して使用する場合には、小児1人が使用することができます。
(2)第23条第1項の各号に規定する同一の取扱区間内にある駅相互間を前号の規定により乗車する場合で乗車経路が環状線1周とならないときは、当該取扱区間内に限りいずれの経路も乗車することができます。
(3)途中下車の取扱いはしません。
(4)入場後は、当日に限り有効とします。
つまり、ICカード取扱規則の第40条と第41条を合わせ読めば、通常の(定期券でない)Suica乗車券で経路指定がなされないのと同様に、Suica定期券で券面表示区間外でもいずれの経路も乗れる、と読むことが可能なのではないかと。
この点について、ネット上では、「これはあくまでも券面表示区間を超えてさらに遠方まで乗った場合に、通常のSuica乗車券と同様にお金を払って使えることを意味しているのであって、Suica定期券で別経路に乗っていいわけではない」等と解釈されている人もいるようです。
ただ、ICカード乗車券取扱規則にはそんな限定をするような記述がありませんので、あえて限定的に読む必要はないと思います(そのような広めの読み方で不都合があるなら、JR側で改定すれば良いだけの話ですから)。
ちなみに、Suica定期券でなく、磁気定期券の場合には少し様相が異なります。
上記のICカード取扱規則はあくまでもSuica用の規約で、磁気定期券の場合は「東日本旅客鉄道株式会社旅客営業規則」に従うことになります。
旅客営業規則第157条第2項では、次のように定めています。
第157条 (略)
2 大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券及び普通回数乗車券(併用となるものを含む。)を所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、同区間内の他の経路を選択して乗車することができる。
そうなのです。
経路指定がないのはあくまでも切符または回数券のみで、磁気定期券については適用がないのです。
この条項を磁気定期券向けに準用している条項があればいいのですが、残念ながら見つかりません。
というわけで、磁気定期券の場合は、規約上は券面表示の経路を通る必要がある、ということになりそうです。
この点はもともとSuica定期券が分割に対応していない時代にもあった問題点で、ずっと黙認されてきた事項ではあるようなので、今更問題視されるとは思えません。
ただ、「運用が厳格化された際に、言い返すことが難しい」という状況ではあると言えそうです。
このことから、Suica定期券でできる範囲での分割にしておく方が適切ではあるのかなと思います。
5.まとめ
というわけで、JRの分割定期に関する情報提供でした。
JR東日本だけでなく、他の地域でも活用できるテクニックのようなので、JRで通勤をされている方は調べてみられてはいかがでしょうか。
なお、私が確認した規約はあくまでもJR東日本のものだけなので、他地域の方は別途ご確認ください。
それから、会社からの通勤手当の不正受給なんてことにもなりかねないので、安くなったら安くなった分で会社に申請する必要があることにご注意を。
それではまた。
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